【英語学習】「海外ドラマはたった350の単語でできている」はおススメできるか?
「海外ドラマはたった350の単語でできている」Cozy作を読ませていいただきました。こちらの作品を元英会話講師目線で要約・感想・おすすめできるのか?をまとめていきます。
この記事を読むことで、「海外ドラマはたった350の単語でできている」で伝えたいこと、どのレベル向けの学習法なのか、具体的な英語学習プランを理解できるようになっています。
■ 本記事作成者プロフィール
・1年のワーホリ留学で英会話講師になった。
・英会話のイーオンで講師をし、教務主任をやっていた。
・TOEIC945点
・英検準1級
・TESOL
「海外ドラマはたった350の単語でできている」レビュー
「海外ドラマはたった350の単語でできている」著者プロフィール
まずは、著者であるCozy氏のプロフィール紹介です。
1982年、奈良県生まれ。大学院(博士)を修了後、アメリカで医学系研究員として2年間勤務。アメリカでの英語出来なさすぎ、苦しすぎ体験をきっかけに2012年にブログを開設。帰国後も研究者として働く一方、海外ドラマや映画を使った「わかりやすくて楽しい英語学習方法」をブログ、メルマガで発信し続ける。2017年、ブログの内容をまとめた『海外ドラマはたった350の単語でできている』(西東社)を出版し、Amazon Kindleランキング第1位を獲得、韓国で翻訳出版されるなど、好評を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
大学院修了でかつ医学系研究員として勤務されているので、元々優秀そうな方ではありますね。
そういった方でも英会話というのは苦労するものというのは結構納得です。TOEICで高得点できても英会話となるとそうはいかない。良くあることです。
そんな苦しみ抜いた先に見つけた勉強方法ということで期待が持てそうです。
「海外ドラマはたった350の単語でできている」をおススメする人
まず結論としてこの「海外ドラマはたった350の単語でできている」がどのような人におススメなのか、逆におススメでなはいのかをまとめておきます。
【おススメの人】
- 中学レベル文法はある程度理解している人
- 日常英会話を必要としている人
- 海外ドラマが大好きな人
【おススメではない人】
- ビジネス英語を必要としてる人
- 文法からやり直したいという人
以下、その理由をまとめていきます。
「海外ドラマはたった350の単語でできている」要約
Chaper1:本当に必要な英単語は350語!?
「本当に必要な英単語は350語」というのはタイトルからもわかるように著者が最も伝えたいことのひとつです。
この数字は著者自身が「Sex and the City」という海外ドラマを見て実際にカウントした数字とのことでです。その気合がすごいですよね!
ただ、厳密な意味で350語かというとそういうことではありません、
- 実際に出てくる単語数・・・12,088語
- 1回だけ出てくる単語数・・・5,188語
- 2回だけ出てくる単語数・・・1,974語
- 100回以上出てくる単語数・・・335語
この「100回以上出てくる単語数約350語が「Sex and the City」の会話の80%を占めている。その観点から「海外ドラマはたった350の単語でできている」というのが著者の主張です。
その他のポイントは以下の通り
- ・覚えるべき350単語一覧(I,he, where, right, that等)
- ・学校では習わない単語10選(gonna,totally, kidding等)
- ・海外ニュースよりも海外ドラマを見よ!(感情や自分のことをを表すのドラマの方だから)
- ・小学生並みにシンプルな言葉で会話せよ!
Chapter2:正しい英語学習法
著者のCozyさんがおすすめする英語学習法の考え方は下記の通りです。
まずは自分と英語との距離感を確認する、
著者は「距離感」という表現を使っていましたが、ようはレベル感だと私は認識しました。
英語学習法は数えきれないほどあるので、自分に合った学習法を自分のレベルを確認してから見極めていきましょう!ということです。
本当に必要なリスニング力
著者は、「英会話の中でのリスニング力はかなり高いものを求められる。」と考えています。
その根拠は、外国人は相手がネイティブであろうとなかろうと外国人自身の会話スピードで話してくるからとのことです。
そこで著者が考える目指すべきリスニングゴールは「英語の音と文字を一致させ、ネイティブスピードの速い英語を瞬時に理解できる」となります。
本当に必要なスピーキング力
著者は、スピーキングにおいては、そこまで高いレベルが必要ないと考えています。
たとえ、発音が日本語なまりでもでかい声でゆっくり堂々と話せば通じるという経験からそのようにとらえています。
そして、スピーキングと何なのかを考えた際に、以下の公式を考え出しました。
「スピーキング=メイキング力+表現力」
メイキング力はセリフを作る力。表現力は表情や声量も含めた発音の力と定義しています。
このメイキング力と表現力を磨くことがスピーキング力につながるというのが著者の主張です。
スピーキング力、リスニング力のゴール
著者はスピーキング力とリスニング力においてそれぞれ4段階のレベルがあり、ふたつの塔にその段階を示しています。Chapter3以降ではそれに沿ってレベルチェックをしながらレベルに合った勉強方法を教示してくれています。
また、スピーキング力は短期でレベルUP可能、リスニング力は長期でのレベルUPが必要と著者は考えています。
Chapter3:短期間でスピーキング力をレベルアップ!
Chapter3以降は先述したレベルに応じた学習法になってきます。ですので、ぜひ、購入してじっくりと学んでいただくために簡単にまとめていきます。
スピーキングレベル1:1秒英作文
スピーキングレベル1での目標は、やさしい単語で短いセリフを瞬時に作れるようにすること。
大事なのは、「瞬時」「短く」「中学レベル」で良いとすること。「ネイティブだったらこう表現する」なんてことは無視して良いという考えです。
スピーキングレベル2:1秒Q&A
1秒Q&Aとは、あらゆる質問に対して、瞬時に回答すること。質問に英語で答えられ、自分が質問できれば、フリートークはできてしまうという考えに基づいています。
スピーキングレベル3:自分フィルター英作文
「自分フィルター英作文」とは、自分の感情+事実を一つの文にまとめた表現です。
例えば、"I'm glad you are getting married."(あなたが結婚することが私は嬉しい), "I wonder if you are OK."(あなたが大丈夫かわからない)といった表現です。
事実に対する自分の感情を表現できるレベルに到達していくことができます。
スピーキングレベル4:思いやりフレーズを覚える
著者の考えでは、レベル1~3をクリアしていくと、おおよその自分のことは表現できるようになるとのことです。
その1~3でまかなえない表現というのが「思いやりフレーズ」
例えば、”Here you go”(どうぞ)”It's up to you.”(任せるわ)といったもので、この一覧も著者は示してくれています。
Chapter4:短期間でリスニング力をレベルアップ!
リスニングレベル1:語彙力、文法力をあげる
著者は、「読んでわからない英語は聞いてもわからない」という考えから、語彙力、文法力をあげる必要があると考えます。
そのあげ方としては、
①350語の会話基本単語を覚える
②文法をおさらいする(文型、時制、疑問詞等 中学生レベル)
リスニングレベル2:英語字幕を多読する
レベル2の段階では、ネイティブスピードに追い付くことを大事にしています。
そのため、英語字幕のDVDを見まくるというのがやるべきことなってきます。
コツは「ゆるく、楽しく、気にしない」
リスニングレベル3:フォニックス&字幕シャドウイング
フォニックスとは、発音学習法のひとつです。「ひとつひとつのアルファベットにはそれ特有の音がある」とされているので、それを身に着けて、文字を見れば発音ができるようになっていく学習方法です。本作品ではそのフォニックス一覧も確認できるようになっています。
字幕シャドウイングというのは、海外ドラマの字幕を使ってシャドウイングを行っていく学習方法。
シャドウイングに関しては、こちらの記事でも取り扱っているので、確認してみたください。
https://large-autumn.com/english-ondoku
リスニングレベル4:ディクテーション
ディクテーションとは、英語の書き取りです。聞いた英文を文字起こししていく勉強方法。
このディクテーションの効果は、2つ。ひとつめは自分が聞き取れない理由がわかる。知らない単語が多いのか、知らない発音が多いのかそういった理由を発券しやすくなります。
もうひとつの効果は、予測力、想像力を高められる。ディクテーションの作業は非常に困難で、それを乗り切ろうとするからこそ耳以外の考え方を搾りだすので、しっかりと場面予測をするようになれます。
特別付録:練習問題
そして最後には本書籍でふれている学習方法に沿った練習問題がいくつかあります。
「海外ドラマはたった350の単語でできている」感想(共感と懐疑点)
ここからは私の感想です。
感想
まずは「Sex and the City」の出現単語を全部洗いだした著者の行動に感動しました。
英語学習者のためにそこまでの時間・労力をかけて行動したことに敬意を払います。同じ英語学習者として見習いたい限りです。
以下、私が本作品を読んで共感できる部分と「これはどうだろう?」と懐疑する部分をまとめていきます。
本当に必要なのは350語について
まず、「本当に必要なのは350語」に関しては、共感できるし、疑問点もあります。確かに、英会話においては単語力はあまり必要はありません。私が英会話を教える場合も単語の勉強はあまりお勧めしません。中学生のうちに学んだもので、会話はほぼ成り立ちます。
350語で事足りるかというとそうではないかと思います。会話を成り立たせるということだけにおいては事足りるかもしれません。しかし、よりレベルの高い会話を楽しむには350語以上の単語がいずれは必要になるし、自分の必要とする状況にもよります。ビジネス界で英語を使う場合は、350語では足りなくなるでしょう。
スピーキングの学習について
本作品で紹介された学習方法、「1秒英作文」「1秒Q&A」は非常に有効的だと感じました。英会話というのは生き物ですので、瞬発力というのも必要ですし、自分の伝えるべきことを簡単に伝える発想力も非常に重要です。
一方で、英文法を理解していない方も少なからずいるので、そもそも英作文を作れないということも考えられます。その場合は、スピーキングにおいても文法力というのは必要になってきます。
リスニングの学習について
リスニングの学習においてシャドウイングはかなり重要で、私としても最もおすすめです。
ただ、シャドウイングはレベルの高い学習方法でもあるので、レベル1,2での学習、「単語・文法」「多読」というのは確実に行ってから挑戦されることをお勧めいたします。
TOEICで言うと600点前後以上の方はシャドウイングを行うことで、100点以上の点数アップが見込めると思います。
ディクテーションもかなりの精度で行えるようになってくると、TOEICでは850点以上も見えてくるでしょう。
結論
以上、「海外ドラマはたった350の単語でできている」の書評をまとめました。
もちろん、この書評は私の意見ですし、完璧にまとまっているわけではありません。この記事を読んで「海外ドラマはたった350の単語でできている」に興味を持たれたのであれば、ぜひ、ご自身の目で確認されることをおススメいたします。
また、私個人でシャドウイングに関するレッスンを行うこともできますので、こちらもご確認いただければと思います。
https://www.timeticket.jp/items/93133
https://www.timeticket.jp/items/95221